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バイオディーゼル燃料の取り組み

このブログを書き始めてちょうど二年が経ちました。
過去の記事も70件近くになりました。地給市場を通して考えたこと感じたこと取り組んだことなどを記録して行くつもりで当初は書き始めました。
その時々、次はこれを書こう。なんて具合に進めてきましたから、一度整理が必要だなと感じていました。過去の記事がどんどん埋もれて行ってしまうような気もするのでカテゴリー別に地給市場の取り組みをまとめてみることにしました。そこで、最初に紹介するのはバイオディーゼル燃料への取り組みです。

[菜種油の量り売りがきっかけでした。]
開店当初から、醤油と並んで量り売りのシンボル的存在だったのが菜種油です。一斗缶からお客さんの持ってきた容器に入れて重さをはかります。ビンや缶に油を注いでいると「この油は使い終わったらどうなるのだろう?」自然とそんな思いが湧いてきました。「全て使い切る人」「固めて可燃ゴミで出す人」など、やはり量り売りを利用する人なのできちんと処理している方ばかり、一方で山に穴掘って捨てている、下水に流す、土ぼこりが立たないように砂利の駐車場にまく人などの噂を耳にしました。できるだけゴミを出さない商店を目指していたので、いずれ廃食油の回収もやりたいと思っていました。

[バイオディーゼル燃料との出会い]
そんな思いでいたところに、「甲府でバイオディーゼル燃料のプラントができたらしい」と言う情報が入ってきました。それが、コープやまなしさんと向山塗料さんが進めていた事業でした。早速、連絡を入れて廃食油の回収拠点に名乗りを上げました。丁寧に事業の説明をしていただき「廃食油の回収」「バイオディーゼル燃料の販売(正確には取り次ぎ所)」として協力させていただくことになりました。2004年4月のことでした。お店に10リットルのポリタンクをおいて、そこに持ってきていただいた廃油をいれてもらう方法でスタートしました。たまった廃食油は甲府のプラントに持って行き、そのついでにバイオディーゼル燃料を購入して帰る様にしていました。当初は廃食油は集まるもののバイオディーゼル燃料を使う人が少ないのが悩みでした。今ではバイオディーゼル燃料を使用する人が増え廃食油が足りないほどです。

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廃食油の回収


[バイオディーゼル燃料を考える会の発足]
その頃は、バイオ燃料はそれほど身近に耳にする言葉ではありませんでした。しかし環境に関する関心が増すとともに「てんぷら油のリサイクル」と言う観点でマスコミに取り上げられる頻度も増し、一般の人にも知られるようになって行きました。そんな頃、分散して活動していた組織や個人の横のつながりをつくり情報の共有や共同で活動をしようという意図で「B.D.F.を考える会(後の北杜市バイオディーゼル燃料を考える会)」を立ち上げ、地給市場も参加しました。この会には、地域で廃食油を集めて石鹸を作っておられる会の方や、商工会青年部の方々、地域の青年塾の方、温暖化防止センターの方、市職員の方、自動車修理工場の社長など様々な方が集まっていました。

[北杜市バイオディーゼル燃料を考える会の活動]
この会ではバイオディーゼル燃料に関するセミナーを開催したり、バイオディーゼル燃料の紙芝居を作成して上演したり、イベントなどで廃食油のリサイクルキャンドル作りなどで、廃食油の回収を呼びかけたりしています。
大きな成果としては、市の環境課へ廃食油の資源回収への協力を呼びかけ、月一回の2時間回収を実現しました。今では各支所の窓口で随時回収の対応をしてくれるまでになりました。
回収の窓口の整備はできたので、後は市民がどれだけ回収に協力するかの問題になります。更に廃食油のリサイクルを伝えて行く活動が重要になります。
もう一つの成果としてはヒマワリを育ててそこから収穫した種を絞りヒマワリ油を作ることができたことでしょう。遊休農地や道の駅構内にある花畑などに種を巻き結果的には275キロの種を収穫しました。その種から約53リットルのヒマワリ油ができました。
道の駅ではひまわりの花が満開の頃にはヒマワリ畑の前で記念撮影をする人などもいて、観光と環境の両方を満たすことができる可能性も感じました。自分たちで種から育て油を作ると言う循環の一部を経験することで植物油がどれだけ貴重なものかを身を以て分かることができました。廃食油も元はこの貴重な植物油です。この循環の和を完成させるためにも廃食油の回収とリサイクルを進めて行かなければなりません。

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紙芝居の上演

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会で作ったヒマワリ油


[人のつながり]
今日本のバイオディーゼル燃料の主流はバージン油からではなく廃食油のリサイクルです。品質に問題が生じると言う声も聞きますが、しっかりした知識と技術を持ってすればかなり解消できるようです。それより、バイオ燃料を作るために穀物価格が上昇したり、森林を伐採してまで大豆やとうもろこしを栽培するような方向は決して循環型の社会にはなっておらずいずれそのしわ寄せが来るでしょう。廃食油のリサイクによるバイオディーゼル燃料の製造が全ての問題を解決できるものではありません。しかしそこには家庭の台所から廃食油を回収拠点に持ち寄ると言う人の手から手へ伝わる行為があります。廃油の回収と言う行為で人が繋がっています。この事がとても大切なのではないでしょうか。
昨年12月にバイオディーゼル燃料で世界一周にチャレンジされる山田周生さんが訪れてくれました。車に小型のプラントを載せ、廃食油から燃料を精製しながら移動するというユニークで興味深い方法でした。山田さんも世界各地にネットワークを作りそこで廃食油の供給を受けるとの事でした。ここでも人のつながりがこのチャレンジを成功させる鍵になっています。山田さんがここを訪れてくれ、交流会をした事で新たにバイオディーゼル燃料に興味を持ち会に参加してくれるメンバーも増えました。山田さんの通った後にバイオディーゼルの人の輪が生まれて行くような気がしました。

[地給市場の役割]
商店と言うのはお客さんの生活と密着した場所だとおもいます。そう言う意味では商品を提供するだけではなくライフスタイルを提案できる場として考える事もできます。ムダをなくし、環境と共生して生きて行く方法を地域の方と一緒に考えて行きたいしそのような暮らしをしたい人の選択肢をなくさないためにも、量り売り、地産食材の販売、廃食油の回収、バイオディーゼル燃料の販売、などを続けて行く事が大切で、
今後も地域のバイオディーゼル燃料に関する窓口としての役割を果たして行きたいと思います。

by genkiueno | 2008-01-13 12:20 | バイオディーゼル  

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