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むかし話(枡が主役)

こんな昔話を読みました。
今の北杜市白州町のあたりで商いをしていた店のはなし。そのお店はたいそうケチで有名で、買い取る時には大きい枡を使い、売る時には小さい枡を使って儲けていました。しかし次第に信用を失ってどんどん客が減り、店も傾いてしまいました。そこへ嫁いで来た嫁がしたのが、以前とは反対に小さい枡を仕入れに使い、大きな枡を使って売るようにしました。そうしたらお客も増え、以前以上に繁盛したそうな。
この話は、以前学校で配られたこの地域の自然や文化を紹介する小冊子に載っていたものです。多分小学生にも読みやすいように短くされたものでしょう。はたして、枡の存在をどのくらいの生徒が知っていてこの話を理解出来たのでしょうか?あまりにも今の日常とは、かけ離れたお店ですよね。この話を読んだとき私の頭にその当時の商売の様子が思い浮かびました。豆や麦などの収穫物をお店に売りに来る農家の人や行商人。その持ち込まれた作物を枡で何杯という感じで買い付け、そして袋やカゴを持って買いに来た客に枡で一杯幾らという感じで売っていたのでしょう。量り売りの原点です。このように枡が活躍していたようです。
枡には大きさがあり、よく見るのが一升枡、その他に5合枡や2升枡などです。10升で1斗。1斗樽などと言う木の樽もよく使われていました。正確に量が測れるように作られた枡は検査をされ合格したものには焼印が押されいました。古い枡には必ずこの焼印が押されています。今回の話に出てきた枡はインチキ枡という事になりますね。枡で量られたものは豆や麦、雑穀などの他に、しょうゆ、油、お酒などいろいろなものでした。その使い方もよく考えられていて、2升枡を使うと、2升がはかれる他に枡を傾かせ口の一辺と底の一辺に液体の面が来るようにするとちょうど半分の1升、2杯の4升を入れて1升取り出せば3升、など一つの枡でいくつもの量を量っていたようです。重さではなく枡で量を量るやり方はその頃の高価な天秤量りを使って量るのに比べて速くて分かりやすい身近な方法だったに違いありません。このように、枡は商いの重要な道具の一つでした。ある造り酒屋さんでは今でも「今年の新酒あり〼」と書いてありました。この〼は「ます」と読みまさに枡の事をさします。この事からも商いと枡が切っても切れない関係であった事が分かります。余談ですが〼はパソコンでも「ます」から変換ができます。
量り売りが姿を消した今、商店で枡を使う姿はほとんど見られなくなりました。しかし日常では一升瓶や一斗缶、炊飯器のメモリなどに○合が使われていたりとその名残は受け継がれています。最近、マイバックの一つとして風呂敷が注目されていていろんなデザインの風呂敷が売られています。持続可能型でエコロジカルな生活様式だった日本の伝統的なものが復活する動きです。いずれ量り売りのお店がいっぱいできておしゃれなマイ一升枡を持って買い物に行くなんて日も来ると面白い。もちろんJISマーク付き一升枡でインチキはできません。  今回は商いのむかし話に登場した枡について書いてみました。

by genkiueno | 2007-04-08 21:52 | 量り売り  

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